私たちの生活の中には、見えない危険が潜んでいることがあります。
特に、普段何気なく使用している生活用品には、健康に悪影響を与える可能性のある化学物質が含まれていることが少なくありません。
その中でも、PFASと呼ばれる化学物質は、その強い耐性と長期間の影響力から特に注意が必要です。
この記事では、家族の健康を守るために、PFASがどのような製品に含まれているのか、そしてその対策方法について詳しく解説します。
この記事でわかること
- PFASは多くの生活用品に含まれており、特にキッチン用品や洗剤、化粧品などに使用されることが多い。
- PFASは分解されにくく、人体や環境に長期間蓄積されるため、発がん性やホルモンバランスの乱れなどの健康リスクを引き起こす可能性がある。
- 家庭内で使用する製品を選ぶ際には、PFASや有害化学物質が含まれていないものを選ぶことが重要で、エコラベルや自然由来の製品が推奨される。
- PFASのリスクを避けるために、生活用品の選択、使用方法、廃棄方法に注意し、正しい知識を持つことが家族の健康を守る鍵となる。
PFASについて基礎的なことから知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
PFASとは?日常生活での危険性について
キッチン用品に潜むPFASのリスク
PFAS(パーフルオロアルキル化合物)は、耐熱性や耐油性、撥水性に優れているため、幅広い製品に使用されている化学物質です。
しかし、その便利さの裏には健康リスクが潜んでいます。
特にキッチン用品においては、焦げ付き防止加工が施されたフライパンや鍋、耐油性が高い食品包装材などにPFASが使われることが一般的です。
これらの製品は、料理をする上での利便性を提供しますが、高温での使用や摩耗によって、PFASが剥がれ出し、食品に混入するリスクがあります。
このため、キッチン用品の選択には細心の注意が必要です。
消費者としては、製品ラベルやメーカーの情報を確認し、PFASを含まない製品を選ぶことが家族の健康を守る一歩となります。
さらに、既存のPFAS含有製品の使用を避けるために、代替品としてステンレスや鋳鉄製の調理器具を選ぶことも推奨されます。
洗剤や掃除用品に含まれる有害化学物質
家庭で日常的に使用される洗剤や掃除用品には、驚くほど多くの有害化学物質が含まれていることがあります。
これらの製品には、汚れを落とす効果や抗菌作用を強化するために、PFASのような化学物質が使用されることが多いです。
特に、フッ素系の成分は防汚や撥水効果をもたらすため、キッチンクリーナーやフロア用ワックスに含まれることが一般的です。
これらの化学物質は、その高い効果の一方で、使用中や使用後に空気中や表面に残留し、家族の健康に悪影響を及ぼすリスクがあります。
例えば、掃除後に床に残った化学物質が小さな子どもによって吸い込まれたり、皮膚から吸収されたりすることが考えられます。
長期的な健康被害が懸念され、アレルギー反応や呼吸器系のトラブルを引き起こす可能性もあります。
したがって、洗剤や掃除用品を選ぶ際には、成分表示をよく確認し、PFASを含まない自然由来の成分やエコラベルが付いた製品を選ぶことが重要です。
健康リスクを最小限に抑えるためには、化学物質を極力排除した、安全な掃除用品の利用が推奨されます。
PFASの他に健康被害があるとされる化学物質について東京都保険医療局がまとめています。
有害物質 用途 主な健康被害 規制日 塩化水素 洗浄剤 皮膚、粘膜障害 昭和49年10月1日 硫酸 洗浄剤 皮膚、粘膜障害 昭和49年10月1日 水酸化ナトリウム 洗浄剤 皮膚、粘膜障害 昭和55年4月1日 水酸化カリウム 洗浄剤 皮膚、粘膜障害 昭和55年4月1日 塩化ビニル 噴射剤 発がん性 昭和49年10月1日 引用元:東京保健医療局
化粧品やパーソナルケア用品に使われるPFAS
化粧品やパーソナルケア用品にもPFASが使用されていることが多く、これは多くの消費者にとって見落としがちなリスクです。
特に、長持ちするファンデーションやウォータープルーフのマスカラ、日焼け止めなどの製品には、耐水性や持続性を高めるためにPFASが含まれていることがあります。
これらの化学物質は、肌に直接触れるため、皮膚から体内に吸収される可能性があります。
さらに、パーソナルケア用品に含まれるPFASは、洗い流されて排水を通じて環境中に放出されることがあり、環境汚染の一因にもなっています。
こうした汚染物質は自然界で分解されにくく、結果的に生態系や人間の健康に悪影響を与える可能性があります。
このようなリスクを避けるためには、使用する化粧品やパーソナルケア用品の成分表示を確認し、PFASを含まない製品を選ぶことが重要です。
最近では、エコラベルが付いた自然派のコスメや、PFASフリーを明記した製品も増えてきており、こうした製品を選ぶことで、家族の健康と環境の両方を守ることができます。
PFASによる健康リスクとは?
家庭内の健康リスク:子どもや家族への影響
PFASはその持続性と蓄積性のため、家庭内での健康リスクが問題視されています。
特に子どもや家族に対して、さまざまな健康被害を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
PFASは、血中に長期間残り続けることで、免疫力の低下やホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性があります。
子どもがアレルギー症状や呼吸器系のトラブルを抱えるリスクが増大します。
また、長期間にわたるPFASへの暴露は、発育過程にある子どもに特に深刻な影響を与える可能性があり、発達障害や学習障害のリスクも指摘されています。
大人でも、PFASの蓄積によるがんリスクの増加や、心血管疾患の発症リスクが懸念されています。
家庭内で使用する生活用品からの化学物質の影響を軽視せず、適切な対策を講じることが、家族全体の健康を守るために重要です。
長期的な健康被害とその可能性
PFASは「永遠の化学物質」とも呼ばれるほど分解されにくく、環境中や人体内に長期間蓄積されます。
この蓄積が長期的な健康被害を引き起こす可能性があると懸念されています。
PFASに長期間暴露されることで、がんや肝機能障害、心血管疾患のリスクが高まることが報告されています。
特に、血中に溶け込んだPFASは、免疫システムを抑制し、感染症に対する抵抗力を低下させる可能性があります。
また、ホルモンバランスの乱れによる甲状腺機能の異常や、高コレステロール血症を引き起こすリスクもあります。
妊婦や胎児への影響も深刻で、PFASに暴露された妊婦は、早産や低出生体重児のリスクが高まるとされています。
こうした長期的な影響を最小限に抑えるためには、PFASを含む製品の使用を控え、環境や体への蓄積を防ぐことが重要です。
家族を守るための対策
安全な生活用品の選び方
家族の健康を守るためには、日常的に使用する生活用品の選び方が非常に重要です。
まず、製品ラベルをよく確認し、PFASやその他の有害化学物質が含まれていないことを確認することが基本です。
近年では、エコラベルやオーガニック認証を受けた製品が増えており、これらのラベルが信頼できる指標となります。
また、製品の成分リストには馴染みのない化学物質が多く含まれていることがありますが、インターネットで簡単に成分を調べることができるため、購入前に確認することが推奨されます。
さらに、プラスチック製品や撥水加工が施されたアイテムは、PFASが使用されている可能性が高いため、天然素材やリサイクル素材を使用した製品を選ぶことで、健康リスクを軽減できます。
具体的には、フライパンや調理器具にはステンレスや鋳鉄製のものを選ぶことが推奨されます。
また、洗剤や掃除用品については、自然由来の成分を使用したものや香料無添加の製品が安全です。
このように、日常的に使う製品を慎重に選ぶことで、家庭内の化学物質のリスクを減らし、家族を守ることができます。
まとめ
家庭内の危険から家族を守るために知っておくべきこと
家庭内で使用する生活用品に含まれるPFASは、見えにくい存在でありながら、家族の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、日常的に使用する製品の選択や、正しい情報の収集が欠かせません。
まずは、製品ラベルをよく確認し、PFASが含まれていないものを選ぶことが大切です。
特に、キッチン用品や化粧品、掃除用品は、PFASが含まれている可能性が高いため、成分表をしっかりと確認しましょう。
また、環境に配慮した製品や、エコラベルがついている製品は安全性が高いとされています。
これらの製品を選ぶことで、家庭内の化学物質によるリスクを軽減できます。
さらに、PFASについての知識を深めることも重要です。
信頼できる情報源から最新の知識を得て、家族の健康を守るための対策を講じることが、安心できる生活環境を作る鍵となります。
最後に、生活用品の選び方だけでなく、適切な使用方法や廃棄方法も理解し、家庭内の危険から家族を守るために、常に意識を高めることが重要です。